6月に開催した「走査型電子顕微鏡講習会」のテキストです。
  1.SEM観察用試料の調整法 
  2.SEM写真の撮影法 
  3.X線マイクロアナライザ−(EPMA)による定性、定量分析法
  4.定量データの採取法(SEM本体の操作)
を載せています。
・SEM本体の操作法 ・X線マイクロアナライザ−の操作法等は電顕室にお問い合わせ下さい。



1)走査型電子顕微鏡(SEM)観察用試料の調整法  

                  
 SEM像は電子ビ−ムを試料にあてて、試料から出てくる電子線(2次電子線)で像をつくります。
 そして鏡体内部の試料室は高真空に保たれており、汚れ(コンタミ)には特に注意する必要があります。
  このため、試料の種類や目 的に応じて次のような処理が必要です。


             ┌─―――― 試料洗浄 ――――─┐
             ↓                                       ↓         
         導電性試料                             非導電性試料    
             ↓                                        ↓       
         試料台への取付け                       試料台への取付け  
             ↓                                       ↓       
     試料観察                     蒸着、スパッタリング   
                                                      ↓       
                                          試料観察     


    ○試料洗浄
       脱脂(アセトン等)
     超音波洗浄
        ブロア−

    ○導電性試料
        洗浄後、試料台に取り付ける

   ○非導電性試料
        導電状態にする
          観察のみ    →  カ−ボン蒸着
              イオンスパッタリング(Pt)
          観察+分析  →  カ−ボン蒸着

   ○試料台への取付け
     種類
         試料台(アルミ製、15φ、20φ、25φ)
         試料ホルダ−(アルミ製、13φ、17φ、31φ)
        接着剤
      銀ペ−スト       → 試料台への取付け
                             包埋樹脂に埋め込んだ試料を試料ホルダ−に取り付ける
      導電性両面テ−プ → 試料台への取付け



 

2)SEM写真の撮影法


  ○種 類
  CRT上の画像の撮影法には次の3種類があります。目的に合わせて使用して下さい。

    ・ロ−ルフィルム(ネオパンSS、120タイプ、6×7cm)用カメラ
       一般的な写真撮影はロ−ルフィルムをさす。
       保存、焼き増し、引き延ばし等ができる。
     現像、焼き付け等の操作が必要である。
    画質は良い。

  ・ポラロイドフィルム(タイプ53、9×12cm)用カメラ
        現像、焼き付け等の操作がいらず、簡単にできる。
    フィルムの保存、焼き増し等が困難である。
    フィルムの値段が高価である。
    画質は良い。

  ・ビジュアルプリンタ(EP-1000A、10×11)
        一時的な撮影法である。
    プリント用紙代も安く、早くできる。
    画質はややおちる。

 ○撮影法
    ・カメラの場合

   @視野、倍率を選択し、ピントを合わせる。

   ASCANNING SPEED を1にする。

   BCONTRAST、BRIGHTNESS つまみをまわし、各メ−タの指示を中心付近に合わせる。

   CPHOTO スイッチを押す。
       撮影中は PHOTOスイッチ の赤ランプが点灯している。
    撮影が終了するとブザ−が鳴り、自動的に観察モ−ドに戻る。

    ・ビジュアルプリンタの場合

   @視野、倍率を選択し、ピントを合わせる。

   ASCANNING SPEED を1にする。

   BCONTRAST、BRIGHTNESS つまみをまわし、各メ−タの指示を中心付近に合わせる。

      CPOWER スイッチを入れ、PRINT を押す。
        撮影中は WORKING TIME の表示ランプが消灯していき、すべて消えると撮影は終了する。

  ○注 意
    ・Bの CONTRAST、BRIGHTNESS の調整は標準的なもので、フィルムの種類、試料の状態、視野の
      分布等によって補正が必要である。
    ・同一視野で撮影と分析を行う場合は、先に撮影を行う。


3)X線マイクロアナライザ−(EPMA)による定性、定量分析

 
  試料から発生するX線を検出して分析を行なうには、次の2種類の方法がある。

    @波長分散型X線分析法
   Aエネルギ−分散型X線分析法

  本校では、 Aのエネルギ−分散型X線装置を使用している。
  主な特徴として
    ・試料表面に存在する元素(11Na以上)を、ミクロンオ−ダで分析できる。
   ・試料を破壊しなくても分析できる。
   ・通常、試料の前処理がほとんどいらない。
   ・分析が迅速にできる。
   ・経験のない人でも、信頼できるデ−タが得られる。
  などがあげられる。
  そして基本的には標準試料のデ−タと未知試料のデ−タを比較して分析を行なうので、次にあげる
  測定条件を一定にする必要がある。

      ・Vacc      電子顕微鏡の加速電圧          →    20[KV]
      ・Ip            〃  のプロ−ブ電流     →  5×10−10[A]
      ・WD           〃    のワ-キングディスタンス     →      15[o]
      ・Tilt          〃    の試料傾斜角        →        0[・]
      ・D         EMAX検出器とビ−ムの距離  →  固 定

  ◇分析法の種類
     @点分析  
      試料の極微少部分の分析で定性分析しかできない。
     スポット分析ともいう。
   A線分析
         試料面上の指定したラスタ−(ライン)に沿った特定の元素濃度をX線計数率で表す。
         X線計数率は近似的に元素濃度となるので、おおまかな定量分析もできる。
   B面分析
         試料面上の特定の元素分布を示したもので、一般的にいう定量分析は面分析を指す。


4)定量データの採取(SEM本体の操作)


  ◇定量分析位置(設定済み)        

                  ─┐           ┌─                               
       W・D =15o│  この場合 │電子ビーム入射角  90°         
      TILT =  0・│           │Χ線取り出し角    38°         
                  ─┘           └─                               

    (1)AGING(電流を流した状態で2時間以上)し、安定させる。
    (2)プローブカレント(Ip)を設定値(Vac=20Kvで5×10−10A)に合わせる。
        1.最低倍率にしてファラディカップを挿入し、中心に合わせる。
        2.10,000倍にして[SPOT MODE]にする。
          この状態で(Ip)を測定*する。
        3.(Ip)測定終了後、ファラディカップを抜く。
    (3)試料を測定倍率に合わせて EDX POSIT を押し、Z軸微動装置にてピントを合わせる。
       この時、FOCUS FINE は中間(10回転のうち5回転)に設定しておく。
    (4)SCANNING MODEを[AAF]にし、POSITION X・Yにてマスクの位置、大きさを設定する。
    (5)計数時間を PRE MODE にて、[LIVE TIME]200SECに設定する。
    (6)SCANNING MODEを[SAA]にし、DATA STORE を実行する。
    (7)測定終了後、ファラディカップを挿入して(Ip)を測定する。
    設定値がずれている場合は、最初からやりなおす。
    (8)ZAF CORECTION(PROGM E)にて定量計算を行なう。

   ※プローブカレント(Ip)測定法(μμAメ−タ−の操作法)
     1.RANGE を1×10−9 にする。
     2.MODE を OFF から ZERO にする。
     3.BATTERY CHECK を押し、指針がグリーン内にあることを確認する。
     4.POLARITYスイッチを+にし、指針→0を確認する。
     5.MODE を MEAS にし、POLARITYスイッチを−にする。
     6.指針を注視しながら、コンデンサーレンズ調整つまみで設定値に合わせる。
     7.測定終了後、RANGEを1×10−9 に戻し、POLARITY→N、 MODE→OFF
       にする。




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